ホオジロザメの生態は現在でもよく解っていません。しかし、少しづつですが解ってきた事もあります。

ホオジロザメはいつも単独で行動しているはずが、時期によってはある特定の場所に集まっているのではないかという事です。

その一つとして考えられているのが、メキシコとハワイの間の深海。その場所は、人でいうお見合いパーティの会場のような場所で、オスとメスの出会いの場所「ホオジロザメ・カフェ」と名付けられています。

その場所で出会ったものは、結ばれ、いずれ産卵を迎えます。その産卵も現在はっきりとは解明されてはいませんが、産卵してから直ぐにその子供達にとって生き残りの為の戦いが始まるドラマがあります。

謎と神秘に満ちた産卵やその時期について、現在、解り始めた事をご説明いたします。

ホオジロザメの産卵

ホオジロザメ 産卵

ホオジロザメの産卵は秋ごろではないかと言われています。その頃にメスはあたたかい地域へと移動をして行きます。2014年に沖縄でホオジロザメのメスが捕獲されたことで、ようやく少しずつですが、ホオジロザメの産卵についての詳細が判明してきています。

ホオジロザメは一般的な魚が体の外で受精させるのとは逆に、メスの体の中で受精を行います。そして、体内で卵を孵化させてある程度成長させてから、体外に出します。これは卵胎生とよばれる繁殖形態です。生まれる赤ちゃんは既に1.5mもあり、1回の出産で5匹前後産まれます。

このように、ホオジロザメは体内で産卵し、卵を温めて孵化させ、成長させてから出産という流れになります。以前は、成長させる為に、お腹の中で、先に孵化した子供が受精していない卵や、後に生まれたものを捕食してして生き抜くという競争が繰り広げられていると考えられていましたが、それだけではない事も最近解りました。

人間は成長させるために母乳やミルクを赤ちゃんに与えますが、ホオジロザメは子宮から母乳と似たような成分の液体を出して、その中で子供を育てていたのです。ホオジロザメの子供は、体外に出るまでは、体内の乳白色の液体の中で生活しながら、栄養をとっていたのです。

日本での出産時期は沖縄で2月頃、九州で4月頃ではないかと言われています。

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まとめ

ホオジロザメの出産は、人間の出産と似ています。与え方は違いますが、母乳を与えて子供を成長させるところも似ているので、何となく親近感を覚えてしまいます。

しかし、出産間近のホオジロザメの腸内から、胎仔の皮膚の断片や、歯が多数見つかったことから、胎仔間の生き残りの為の競争の可能性が大きいとされています。生まれる前から戦いを覚え、そして生き抜くことが出来た強い個体だけが海に出ることが出来るのです。人間とは全く異なります。この事は、強いものを残す事が、自分達の子孫を残す事につながるという生物の不思議な力を感じます。

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